スターシップ・オペレーターズ ＃13(終)｢モーメント・オブ・トゥルース｣
若者は自分たちの力で活路を見いだした。
筋を通す大人、小賢しい大人は死に、老獪な大人は生き残った。
前回の感想にも書いたように、地球連合は間宮前総理・「王国」(もしかするとこちらは雌狐・報道官の両方か？)双方と密約を結んでいた。
結局の所、「王国」の軍事力はアマテラスとの戦いで戦艦を多数失って疲弊していたし、政治的にも内部分裂の様相を呈していることが判明し、そのことが地球連合に間宮前総理との密約を選択させたのだろう。
最も老獪に立ち回った人物である間宮前総理にとって、アマテラスが沈もうが、乗員(姪のリオも含めて)が全滅しようが、どちらでも良かったのだろう。「これも想定の内か？」との問いに対しては、「想定する必要がなかった」という答えが本音なのだろう。
前回にも書いたが、やはりアマテラスには最早戦闘は無理だったね。自沈によって地球連合艦隊を数隻巻き添えにすることは出来たが、さすが大質量を誇るアマテラスのことだけはあった。ところで単なる撃沈と自沈では爆発の威力が違うのだろうか。
政治上の決着も前回の時点で既についており、地球連合による選択の内容及びその展開を見せてくれる形となった。
そして、「戦闘」・「政治」に続く本作第３の柱「メディア戦略」。すっかり忘れていたよ、忘れていた私が悪いのか、意識させてくれなかった構成が悪いのか？人のせいにするのは良くないので、私の視聴態度に問題があったのだろうｗ
ラストにきて、「メディアを利用し、利用されてきたアマテラス」という本作の根幹を生かした展開に納めたのは評価できる点の一つだ。ただ、世論*1を味方につけると言っても、同じ星系内のシュウ国民ならともかく、遠く離れた地球の人々にとっては「対岸」どころか「異星系」の紛争であり、地球連合が多少不当な行動に出ても、地球圏の安定を乱すくらいなら、容認してしまうのではないのかとの懸念が残る*2。「スターシップ・チャンネル」(報道番組!)も、単に娯楽として楽しんでいたのだろうし。
話は変わって、本来柱の一つになるはずの「キャラ」。こればっかりは評価のしようがない感じ。だって「白紙答案」に近いもの。少ない話数と多数のキャラが右と左からぶつかり合って相殺されちゃったみたいな。
本作で一番キャラが立っていた人物って、容易には挙げられないんだけど(自分自身のひいき目に忠実に従えば、キスカ・リオって事になってしまうけどw)、サンリぐらい？といっても、あの「宇宙大告白」のインパクトが強かったってだけかも。
今回シノンが、ディータとピーターの関係について、「知ってました」とか言ってたけど、「ハァ？」としか。
シノンについて、よく通る声・ロボットのよう・期待されているように演じて見せるといった初回での人物紹介ってどこまで生かされていたのかは疑問。
実際、今回については一番自己主張していたのってシメイなのかも。
キスカ達「五人組」が自沈・脱出を決めているときに、「イソップやシメイとの協議無しにそんなこと決められるのかな？」と思えて仕方がなかった。彼ら(イソップの生存本能が発現という展開も予想できた)の反対・反乱に遭えば、こんな作戦あっけなく瓦解してしまう。
最終的には、若者*3を巻き込んでしまったと感じていたシメイの力で作戦は成功に終わったが。
彼の説得にキスカ・リオの「エリートカップル*4」が向かったのは当然だろう。まだ「あの方」と言っていたが、どうなんだろうね、この二人はシメイに心酔していたのだろうか。若い軍人にクーデター(ちょっと違うけど)をそそのかす将校のようなカリスマ性は彼からは感じられなかった。逆に淡々と論理を積み上げつつ話すのが効果的だったのか。
まあ、最終的な結論として無理は十分に承知した上で書くと、淡々としていようが、「前中後編」で単なる「起」や「承」だけの話数がいくつも発生しようが、もっと話数をかけて(こればっかり言ってるけど、本当にそう思うんだからしょうがないでしょｗ)丁寧に間をつなぎ、描写された形で見たかった。
いずれにしろ、宇宙戦闘の面白さは楽しめたし、忘れた頃に帰ってきた大物、間宮前総理(といってもその駆け引きの描写無しなので、私の妄想でしかないのだがｗ)の活躍を楽しむことも出来た。大体、感想を書こうと思う時点で、「全く評価に値しない」というレベルは超えていると言っても良いのであろう。
ただ、私の場合貯めておいて一気に追いついて最終回を迎えたため、他の方とは感じ方が違うのかもしれないが。
最後に余談。エンディングテーマに乗せてクライマックスを迎えたのだが、せっかく良いシーンで気持ちも盛り上がっていたのにToHeart-Rの「やり過ぎ」の影響がまだ尾を引いていて、どうしても思い浮かんじゃって困ったよ。
