よみがえる空 -RESCUE WINGS- #03「苦しい仕事」

「自分は見学でやって来ました。ここで降りても構わないはずです!」


何とも最低な言いぐさだ・・・。「中途半端」も極まれりか。


こんな事を書いていると、全て自分に跳ね返ってくるのを承知で書き連ねてみると・・・。
薄っぺらい自己満足のために、「病院で家族の到着をただ待つだけ」という何の役にも立たない行動。たとえ新人で*1、実質的には役に立たないのだとしても、石ころの一つや二つ運ぶくらいのことは出来るだろう。
とはいえ、鬼軍曹こと本郷三佐をしても叱り飛ばすことなく*2、「勝手にしろ・・・」で済ませたのは、新米の心の傷に配慮してのことか。あるいは、半ばあきらめの境地だったのか。もしかして、あんな状態の奴をヘリに乗せても、重量が増えるだけで燃料の無駄とか。


さらに、誰もやりたがらないであろう役回りを淡々とこなしているのであろう葬儀屋*3に当たってしまうという最低の上塗り振り。そこまで落とすとは思わなかっただけに驚いた。


さて、彼を癒し「中途半端」を本気にさせるのは、一宏自身もさることながら、めぐみに与えられた役目のはずなんだが、やはりここにも試練があるはず。本郷三佐のグラマラスな奥様なら、救難隊の任務の困難さ・苦しさ、それが隊員にどのような心理的影響を与えるのか*4を経験的に承知しているだろうが、めぐみはどうだろうか?
一宏でさえ、災害現場で何が起こるかを恐らくは初めて身をもって知ったはず。だから、めぐみには一宏がどのような苦難を経て、いかほどの心の傷を負っているのかを想像することは難しいだろう。もちろん、そのことが良い影響を与える事もあるかもしれないが、「理解不足故の歯がゆさにめぐみに対して当たり散らしてしまう一宏」といった鬱シーンも予想される。


「必ず助けます」


「あんた、自分がコーディネイターだからって・・・」とは言われないだろうが、これは自分に言い聞かせるための台詞でもあったのだろう。「助からないかもしれない・・・」という心に負担のかかる思考を無意識のうちに排除するのは人間としては自然な感情だ。昔保健の授業で習ったような・・・。「防衛機制」とか言うんだっけ?

*1:救難隊に配属されている以上、ヘリパイへの機種転換訓練だけじゃなくて、相応の訓練はしてるのかな?

*2:いつ鉄拳が入るかとヒヤヒヤしながら見ていたのだが

*3:その意味では一宏と比較するのも失礼

*4:災害時には、被災者のみならず救助隊員にも「心のケア」が必要だったと思う